シノビガミでドラマ性と攻略性を両立せよ

シノビガミでドラマ性と攻略性を両立せよ
目次

はじめに

タイトルがもう答えなのですが、シノビガミに限らずTRPGはこの「ドラマ性」と「攻略性」という二つの軸足で遊ぶ場合がほとんどです。この二つのバランスは人それぞれで、どちらが正解というわけではありません。

ただ、シノビガミは特にこの二つの要素への優先度が界隈ごとに大きく異なる印象があります。本日はこの2要素について考えてみましょう。

どうも、君にロマンティックを捧ぐふれのです。ではよーいスタート!

ドラマ性と攻略性とは

ドラマ性は、ロールプレイや演出、キャラクターの感情や目的、物語をよく噛み締めて楽しむ感覚です。
対して攻略性は、シナリオをクリアするため、戦闘に勝利するための要素、ゲームを攻略するための視点です。

これら二つの軸足はどちらかだけでは成り立たず、両足で地面を踏みしめてこそ安定するものです。ただ、プレイヤーによって「どっちをどれくらい重視するか」が違うんですね。

「100ポイントのステータスをこの二つに自由に割り振ってください」と言われたらどう割り振るか、という感覚ですね。私だとドラマ70、攻略性30くらいになります。

ドラマ性重視の遊び方

「ゲームを攻略するなら絶対こっちのルートを選ぶべきなんだけど、このキャラクターはこっちを選んじゃうわ」というのはドラマ性を重視しているから起きる話でしょう。キャラクターによっては見えている地雷を敢えて踏みにいくことがあるかもしれません。

ドラマ派の特徴

  • キャラクターの立ち絵や差分にこだわる
  • 回想シーンや奥義の演出に時間をかける
  • キャラクター同士の関係性を大切にする
  • ロールプレイを深く楽しむ

ドラマ性を優先する方は、構成を極めるよりも、セッション中にいかにして自分のキャラクターを表現するか、他キャラクターと濃密な時間を紡ぐか、一つ一つのシーンを噛み締めて大切にするか、といったことを重視します。

例えば立ち絵を描いたり、戦闘差分を用意するのもその一つですし、回想や奥義でたっぷり時間をかけて凝った演出を行ったりします。筆者は割と回想シーンでドラマを展開するタイプですが、10分以上の時間をいただくこともあったりします。

ドラマ性を重視するプレイヤーが気をつけたいこと

ドラマ性を重視する場合、つい演出や感情表現に熱が入りすぎて、他のプレイヤーの時間を奪ってしまうことがあります。たっぷりロールプレイにのめり込むドラマシーンは楽しいものですが、「全員の時間」を使っていることを意識しましょう。

自分のキャラクター設定の一人語りが他プレイヤーにとっても楽しい時間とは限りません。ちゃんと魅力的なキャラクターになっているか、その魅力を表現できているかは要チェックです。ジャイアンリサイタルになってはいけませんからね。

攻略性重視の遊び方

データが豊富なシステムであるシノビガミは、この攻略性に比重を置く人が多いという特徴があります。クライマックスフェイズで必ず戦闘がありますから。そして多くの場合において、ここで勝たないと使命達成にはならないのです。

攻略派の特徴:

  • 効率的な忍法構成を考える
  • 複雑なコンボやテクニックを追求する
  • 戦略的に有利な行動を選択する
  • 忍法の裁定やレギュレーションなどを細かく定める
  • 「模擬戦」と呼ばれるスタイルを好む場合もある

攻略性を重視する方は、忍法構成での個性が光ります。強さや弱さだけではなく、構成の複雑さ、忍法同士の組み合わせによるコンボ性を重視される方もいらっしゃいますね。

セッション中も自分の使命達成がしやすいように有利となる行動を積極的に考えていくでしょう。この攻略要素を極めた遊び方が「模擬戦」と呼ばれるスタイルになるわけです。

そして戦略性を大事にするため、レギュレーションを細かく定めていたり、平等になるように裁定を工夫されていることが多い印象があります。

攻略性を重視するプレイヤーが気をつけたいこと

攻略性を重視する場合、「最適解」を他のプレイヤーに押し付けないよう注意しましょう。明らかに効率的ではないプレイには思わず指摘したくなってしまうかもしれません。が、そんなものは相手は望んでいない可能性があります。

「その選択は非効率だよ」と指摘するのではなく、「別の選択肢もあるけど、どうする?」というような声かけの方が場の空気を壊しません。

コミュニケーションの重要性

事前の擦り合わせ

セッションを始める前に、参加者全員で「どんな遊び方を望んでいるか」を話し合いましょう。

  • このセッションはどのくらいロールプレイ重視か
  • 忍法構成のレベル、ガチ構成かカジュアルか
  • 一つのドラマシーンにどのくらい時間をかけるか
  • キャラクター同士の交流はどのくらい大切にするか
  • どのようなレギュレーション、裁定になっているか

こうした点をあらかじめ話し合っておくことで、プレイ中の「ズレ」を減らすことができます。

「交通事故」を防ぐために

プレイスタイルの違いから生じる「交通事故」を防ぐために、以下のようなコミュニケーションを心がけましょう。これは特に野良でセッションする機会ができた場合には重要視したいです。

  1. 自分のプレイスタイルを伝える
    「私はキャラクターの感情表現を大切にしたいタイプです」「データを考えるのが好きです」と伝えることで、互いの理解が深まります。そして大事にしている部分がズレていないかを確かめられます。
  2. 違いを認め合う
    自分と異なるプレイスタイルを「間違っている」と切り捨てず、「異なる楽しみ方」として尊重しましょう。どうしても合わない場合は仕方がないです。
  3. 折り合いをつける
    完全に自分の好みだけを通そうとせず、お互いが少しずつ譲歩して中間点を見つけることも大切です。
  4. GMの役割
    GMは参加者のプレイスタイルを把握し、バランスを取る役割も担います。必要に応じてロールプレイを巻いて「そろそろ次に進みましょう」と進行を促したり、「今回はこのように処理します」と平等な裁定を考えたりなど行うと良いでしょう。

バランスが大切

実はどちらの視点も完全に切り離せるものではありません。ドラマ派の人も戦闘で負けてしまうと大切なキャラクターが酷い目に遭ってしまうかもしれないので、ある程度の戦闘力は必要です。攻略派の人も、キャラクターの魅力があってこそのゲームなので、ドラマ性を無視することはできません。

繰り返しになりますが、これは右か左かの選択ではなく、どのくらいの比重を置くかの「バランス」の話です。ドラマ性を重視している方でも攻略要素は考えざるを得ませんし、攻略重視の方もドラマ性に一切関わらないことはないはずです。

大切なのは、テーブルに集まるプレイヤー同士の「バランス感覚」が近いことです。ドラマ重視の人と攻略重視の人が一緒にプレイすると、時に「交通事故」が起きることも……。セッション前に「どんな遊び方がしたいか」を話し合っておくと良いですね。

ふれのはキャラクターへの没入を大切しており、ドラマ性を求める節が強いです。細かい処理とか攻略のための手順とかを考えるのは苦手で「いいじゃんさっさと進もうぜ」と思考停止になりがり。とはいえデータ面にもそれなりに明るいのでどちらも楽しめる土台はあります。

自分のプレイスタイルを知る

PLとしての優先度を客観視してみよう

自分がどのようなプレイヤーなのかを知ってみましょう。以下の質問を見て、どこに比重を置いているのか改めて自分で整理してみましょう。それぞれに配点をつけてドラマ性◯%、攻略性◯%とかになるように作っても良かったのですが、流石に面倒だったので省略!!

セッション中、どんな瞬間が一番楽しいですか?

  • キャラクター同士の会話や交流
  • 戦闘で強力なコンボを決めたとき
  • 感動的なシーンを演出できたとき
  • 難しい状況を戦略的に切り抜けたとき

キャラクター作成時に一番時間をかけるのは?

  • 背景設定や人間関係
  • 忍法構成やコンボの組み立て
  • キャラクターの性格や価値観
  • 他キャラクターとの関係性、すり合わせ
  • 立ち絵を描く

他のプレイヤーのどんな行動が魅力的に思いますか?

  • とても感情豊かな演技力のあるロールプレイ
  • 場面が頭に浮かぶようなシーン演出
  • 効果的で最適な戦術や戦略
  • 個性的なキャラクター設定
  • 円滑なセッション進行、提案
  • 素敵な立ち絵

セッション中のどのような要素で「うーん」と感じますか?

  • 自分のキャラクターがうまく表現できなかった
  • 戦闘バランスが悪いシナリオ、GMの裁定
  • 同卓者が立ち絵を描いてこなかった
  • 同卓者がガチ構成、又はあまりにも弱すぎる構成で来た
  • 同卓者の長考や長いロールプレイで時間を奪われた

こういった質問に対して優先度を確認してみると、自分がどちらの要素を重視しているかが見えてくるでしょう。

GMとしての配慮

GMとしても参加者のプレイスタイルに合わせた配慮を行うとより良いセッションに繋げられます。

  • ドラマ重視のプレイヤーには:NPCからヒアリングを行うなどして、キャラクターの感情や背景を掘り下げる機会を提供する、ドラマシーンや演出の時間を十分に確保する。
  • 攻略重視のプレイヤーには:PCたちのキャラクターシートに合わせて、敵のエネミーデータを調整して歯ごたえのある難易度を提供、PC間の戦闘バランスや平等な裁定に気を配る。

ふれシを遊ぶ方の趣向は?

あなたはドラマ性と攻略性をどのような塩梅で割り振りますか? もちろん人によるというのが前提ではありますが、私のシナリオを遊んでいる方はかなり「ドラマ性重視」で遊んでいる方が多いように思います。

以前にアンケートへの回答記事を書きましたが、その記事内にもある「ドラマ性を重視する方は女性が多い」「攻略性を重視する方は男性が多い」というものにも繋がってきます。もちろん数値だけで図るつもりはありませんが、事実として私のシナリオ購入者は7割が女性です。

シノビガミにおいて、ドラマ性と攻略性はどちらも欠かせない要素です。極端に片方だけを重視するのではなく、自分にとって心地よいバランスを見つけることが、楽しくプレイするコツとなります。そして何より大切なのは、異なる楽しみ方をするプレイヤー同士が互いを尊重し、理解し合うことです。

いろいろ語りましたが、分かっている方からすれば当たり前の話。これからもこのあたりのバランスに優れたシナリオを書いていきたいなあと思ったのでした。ふれのでした。